今、国内での住宅における機械換気の必要性が急激に問いただされています。その背景にはシックハウス問題の対策として、国が建築基準法で昨年の7月から住宅を新築または増築する場合に機械換気設備の導入を原則として全ての建物に義務付けたからなのですが…。そこで今回は換気について触れてみることにしました。
弊社も取り組んでいる高断熱・高気密住宅といわれる住宅においては、そもそも法で定められるずっと前から、住宅における「換気」をシックハウス対策も含め、汚染空気の排出・新鮮空気の導入という健康に暮らすための重要な性能と捉えており、計画換気システムとして24時間常時運転の機械換気システムが導入されているのが普通です。 ところがそれに対しよく聞かれる質問の中で、「高断熱は分かるけど、高気密をしないでおけば換気システムを導入せずに済むので高気密になんかにしないほうが良いのではないか?」という声を耳にします。それは「高気密にするから換気が必要になる」という矛盾に対しての疑問だと思うのですがその考え方はちょっと違うのです。
弊社も取り組んでいる高断熱・高気密住宅といわれる住宅においては、そもそも法で定められるずっと前から、住宅における「換気」をシックハウス対策も含め、汚染空気の排出・新鮮空気の導入という健康に暮らすための重要な性能と捉えており、計画換気システムとして24時間常時運転の機械換気システムが導入されているのが普通です。 ところがそれに対しよく聞かれる質問の中で、「高断熱は分かるけど、高気密をしないでおけば換気システムを導入せずに済むので高気密になんかにしないほうが良いのではないか?」という声を耳にします。それは「高気密にするから換気が必要になる」という矛盾に対しての疑問だと思うのですがその考え方はちょっと違うのです。
例えば昔の家を振り返って見ましょう。
壁は土壁塗りで建具は外廻りでも木製建具といった時代の建物であれば隙間風がある程度あって、風の影響などで自然に換気が行われていました。
ところが近年の住宅建築では壁は石膏ボードにビニールクロス貼りを多用し、窓は木製からアルミサッシへといった具合で高気密住宅でなくても、ある程度の気密が出てしまうので、自然の風による換気では住宅室内の必要な換気量が不足しているのが現状です。
さらに風の影響による換気が有ったとしても、風の強・弱で換気量がまちまちになり冬で風が強い時には暖房の利きが悪く燃費もかかる事になったり、例えばトイレ・台所・お風呂等の水廻りが北側にあって南側に居間があるとしたら、北風が吹くとその臭いや湿気が居間のほうに流れて来てしまい逆効果になってしまいます。
そこで新鮮空気を吸気すべき場所と汚染空気を排気すべき場所を指定してその間を流れる空気の道を明確にし換気量を安定して確保する「計画換気」というものを考える必要が出てきます。それを実現するには中途半端な気密では風の影響があったり、排気は良くても吸気が思いもしない隙間から入り込んだりして計画が成り立たないので、逆に計画換気を行う為には気密を高めてやる必要が出てくるのです。
つまり適切な換気を行うためにはあるレベル以上の気密が必要なので「高気密にするから換気が必要になる」のではなくて「適切な換気を行う為に適切な気密が必要になる」ということになるのです。それが機能すると常に新鮮な空気で臭いもこもらず、だからといって風や寒さを感じるほどではないゆるやかな実に健康的な換気が実現するのです。
そうなってくると例えば増築やリフォーム等で高気密(一定レベルの気密)の家でなければ計画換気がしにくいという事になりますが、だからと言って何もしないよりは法改正で言うとおり個別にでも換気扇を付け対応したほうが良いのかなと個人的には思います。ただ法改正では24時間常時換気を旨としていますが、それを普通の家でやると換気量が過多になりがちで暖房費がかさんだり過乾燥になったりするのではないかと心配なのでその辺りは注意が必要かと思われます。
ちなみに途中話にも出てきた昔の家ように、土壁塗りの木製窓にすれば換気のシステムは要らないのかと言うと、法律では一応それでOKなのですが、現代人はその便利さに慣れもあって機械による暖房や冷房が当たり前の生活になってきており、「暖房も冷房もしないで我慢する」または「暖冷房するけど燃費なんて気にしない」という方でもなければそのようなスカスカの家をお勧めすることは難しいです。
最後にシックハウス対策に端を発した今回のコラムですが、注意すべきは根源となる住宅から出る有害化学物質の制限抑制と、その住宅業界より規制が遅れているのが家具や日用品で、実はこちらから放散される化学物質の方が問題だとも言われています。
皆様、家具等買い物をする時はその辺の仕様に十分注意をしてお買い物して下さい。